AAO2019報告
投稿日:2019年5月15日
カテゴリ:院長ブログ
5月3日~7にかけて、アメリカ・ロサンゼルスにて、
アメリカ矯正歯科学会に参加してきました。
ロサンゼルスは晴れの日が多いと聞いていましたが、
滞在期間中はほとんど曇っており、気温も低く、
現地の人達も「異常な天候」と感じていたようです。
学会は盛況で、南米からと思われる人達が多かった印象です。
あとから知ったことですが、
ブラジル矯正治療が非常に盛んなのだそうです。
思い返せば、ブラジル人と思しき学生がたくさんいたように思います。
企業展示ブースも広大なスペースを使って繰り広げられていました。
様々なシステムと道具が展示されていましたが、
主流はCAD/CAMにより、シュミレーション通りに作成された矯正装置を使う、
というものです。
口腔内スキャナーで歯の状態を記録し、シュミレーションソフトで完成形をイメージし、
その通りに動くような装置を自動的に作成し、
歯科医師はそれを患者さんの口腔内に装着するだけ、という流れです。
今後もこのデジタル化の流れは加速していくものと思われます。
全体を通してとても勉強になり、非常に有意義な時間を過ごすことができましたが、
印象的だったことをまとめてみます。
①TADは必須
TAD'sとは、Temporary Anchorage Device の略称で、
矯正用アンカースクリュー、ミニスクリュー、ミニインプラントなどと呼ばれています。
これにより、治療期間の短縮、小臼歯抜歯の回避、外科手術の回避など、
多くのパラダイムシフトが生み出されました。
今回の学会では、ほぼすべての症例に使用されており、
もはやTADなしでは矯正治療が成り立たない、という印象でした。
②やり直し矯正治療が多い
発表症例の多くは、「以前矯正したがもっと改善したい。」という主訴でした。
つまり、過去に矯正治療を行ったものの、結果に満足できなかったり、
後戻りが発生したため、再度、矯正治療を行った、というものです。
当院でも、小・中学生の頃に矯正治療を行った経験がある方で、
再びゆがみが出て歯並びが乱れている方が散見されます。
後戻り対策を徹底すること、成長期により骨格は変化すること、などを踏まえ、
矯正を行う時期や注意点を明確にすることが肝要と感じました。
③永久歯抜歯はほとんどない
①に関連することですが、
従来、矯正治療といえば第一小臼歯を抜く、というイメージが根強いですが、
ほぼすべての症例で、抜歯を行っていませんでした。
もちろん限界はりますが、その領域はかなり狭くなっていると感じました。
世界の最先端の考え方や技術に触れることは、
本を読むだけでは得られない、とても刺激的な勉強であり、
今後も継続して参加することが重要と感じました。
多くのことを学ばせていただいている恩師と、
共に切磋琢磨するMAKメンバーに感謝を込めて。
恩師 秋山勝彦先生と
■ 他の記事を読む■